考えてみれば、若い作家にチンカスくそじじいと呼ばれるには、老齢になるまで書きつづけなければならない。久保野くんの暴言をきっかけに、三十代の我々──大御所などではもちろんなく、中堅といえるほどの実績もなく、二十代の年若い書き手からの突き上げもはじまってきていて、そろそろ一生のテーマを見つけているべき、生涯の代表作のひとつもものしているべき年代──はいかにこの業界で生き残っていくか、というサバイバル論がはじまったのだった。
文壇、というものはきっとすでに失効していて、こういった会話も、ごく狭いサークルの内でしか意味をもたない。私や宇野原さんはデビューから十年以上経っているが、いまからさらに十年後、あの五人のうち何人が、小説家としての活動をつづけているだろうか。
考えてみても詮ないことだ。私は考えるのをやめ、コーヒーを啜る。私たちにできるのは日々書くことだけで、そうしていれば次の十年もすぐだろう。
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