イカスミスパ会の途中、監督の家──彼の本業は土建屋の社長で、校区の端の山の麓に、芝の庭つきの大きな家を構えていた──の庭で毎回恒例のリフティング大会があり、ヴィッつぁんはそのとき、サンガのケースからゴーグルを取り出して、シャキーン!という効果音を叫びながらベルトを締めて参加した。けっきょく二十人中七位で、あまりぱっとしない成績だった(私は十五位)のだが、その大会でいちばん目立った選手だった。これも毎回恒例の、その日のMVPに選ばれて京都サンガのリストバンドをもらったヴィッつぁんは、さっそく両腕に嵌めていた。夏で、よく日に焼けた彼の両腕はうす暗いなかでくろぐろと光り、その先でフェニックスが揺れていた。
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