乱暴なかんじでキーパーの、名前を忘れた誰かがつっこむ。きっと彼も、ヴィッつぁんのまとう静謐さを乱すのをためらって、ケースが閉まるのを待っていたのだろう。
サンガ好きだし。
好きだからっておまえ。
エドガーがJリーグに降臨したらサンガ優勝まちがいなし。
そらそうだな。
彼らは裸の背中をたたき合って浴室に入っていく。当時は今のような有料放送も充実していなかったはずだし、小学生の彼らが、だいたいは深夜に放送されるヨーロッパサッカーの中継を観ていたとも思えない。彼らも、ヴィッつぁんですらたぶん、ダーヴィッツがプレーする姿を、写真と短い映像、テキストでしか知らず、ただなんとなく、ゴーグルしとるすげえ選手、という位にしか認識していなかった。ポドルスキもイニエスタもダビド・ビジャもヴィッセル神戸を優勝させられなかったし、フォルランがいてすらセレッソ大阪は降格したのだから、ダーヴィッツがサンガに移籍したからといって成績が上向いたかどうかはわからない。とにかく、私たちは、自分のチームに、世界のトッププレイヤーと、競技に関係のないことでも共通点をもった選手がいるだけでうれしかったのだと思う。
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