色つきのゴーグルをはめてプレーしていたダーヴィッツは、ほかの二十一人とはちがう色のボールを追いかけていた。何で読んだのだったか、仮に視界のなかの色がすべて反転していても、生活上の支障はないに等しいらしい。私たちはきっと、わずかずつであれ、それぞれにちがうものを見て美しいと思ったりしている。そしてボールを追いかける二人──ダーヴィッツとヴィッつぁん──の視界の端には、きっと常に、真っ黒いフレームが見えていた。集中していれば意識することはないだろうが、消えることもない。フレームにじゃまされて味方のパスや敵のタックルに気づけなかったことが、ダーヴィッツは、ヴィッつぁんは、何度あったのだろう。
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