根負けしたように言葉を喋り、ドアを開けて出てくる。ZOOMで誰かと喋りでもしたのか、下は短パンのまま、上だけ襟つきだ。コーヒーはもう飲みすぎてるからいいや。カオルくんも、それ何杯目?
七杯目からは数えてない。
やめるの早いよー、ボクシングだって十まで数えるよ。
まだ十杯は飲んでないかな。
そっか。
私たちは、さっきの雰囲気の悪さを忘れることにした。お互いに相手がそう決めたことを察した。阿吽の呼吸で水に流して、おやつをしっかり食べる。恋人は、さっき私が洗った深皿をラックから取り、まだ残っていた水滴を拭いた。私たちはいっしょにポテチを食べるとき、大きい皿にぜんぶ出して箸をつかう。宇野原さんとベラさんは袋を二人の間に置いといて各自手で取って食う。リンは、どっちかが──だいたいはリンが袋を持って、自分とシロタくんの口に交互に食べさせる、と言っていて、それを聞いたときは、そんな食べかたでシロタくんは満足できるのか、とふと思ったが、そう思うのは私が彼のことをジャイアント白田のイメージで考えてるからだ。まあそういうの、なんかリョウくんとみやちゃんらしいね、と林原さんが可笑しそうに言っていたことを、恋人とそれぞれの箸でポテチをつまむたびに思い出す。
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